2014年8月17日午前 水プロジェクト地の訪問

以前から「ぜひ一度行ってみたい!」と思っていた、ウォータープロジェクトの現場に、今回初めて行ってまいりました!このプロジェクトは、1996年から2000年に、丸川さんが50回以上も現場に足を運び、537万円を寄付、力を入れて支援したプロジェクトです。


メルーの町にマクタノという分岐点があります。そこから車で走ること15分。なだらかな坂道を下って行くと、緑の多い風景から、だんだん乾燥した土地になっていきます。丸川さんが最後に訪れたのは10年以上前ということで、通り過ぎてしまわないよう、プロジェクトのメンバーの方たちに道路脇で待っていてもらいました。走っている道の左側奥には、大学に格上げになったというMeru University of Science and Technologyが見えます。

 

通り過ぎず、ちゃんとスタッフが待っているところでストップ。丸川さんも忘れていませんでした。まずはプロジェクトを運営している自助グループの事務所に立ち寄ります。この事務所は、小さなお店やオフィスがテナントで入っている建物の中にあります。壁に「Kiabaibate/Nchura Self Help Water Project Office」とペイントされています。責任者のスタンレー・カイブンガ氏とスタッフたちが笑顔で迎えてくれました。ひと通りあいさつが終わり、プロジェクトの概要が書いてあるプリントが配られました。訪問に際して、しっかり準備していてくれたのですね、素晴らしいです。このプリントを片手に、責任者のカイブンガ氏がこれまでのあゆみやスタッフの紹介をしてくれました。


配られたプリントの内容は、つぎのとおりです


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1975年 

50名の女性により水プロジェクト開始


1983年 

メンバー数が200に増える。Karindiに水源を見つける。団体として登録し、25㎥のタンクを建設


1994年

Kuuru Forestにある水量のより多い水源と小川を発見。メンバー数は600に達する


1996年

丸川氏により、パイプとその他・付属品が提供される


このプロジェクトは15名の選ばれた委員会メンバーと、1名の事務員、3名の専従スタッフがいる。

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これまで達成してきた詳細や、当時、丸川さんが支援した奨学生のリストもあります。この地域の8名の優秀な学生が奨学金の恩恵を受けたんですね。そして最後に、このグループが抱える課題が3件:-


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1.森のゾウによるパイプへのダメージ

2.牧夫によるパイプへのダメージ

3.給水制限がいまだにあること

(給水制限については、次回、丸川さんが改めて説明いたします)


「今後の計画」の6件。

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団体のスタッフ紹介のあとは、チーム・マルカワにバトンタッチ。昔を振り返りながら、近況報告を交えて丸川さんがお話をしました。


私が驚いたこと・感心したことは、当時、丸川さんが面接をしたマーシーさんが、いまも事務員さんとして勤務していらっしゃることと、グループ自体が継続して水プロジェクトをきちんと運営していることです。よく聞くのは、外国の援助を受けたプロジェクトや団体が、支援が終わったあとに活発でなくなったり、消滅してしまったりということもあるという話。ここでは着実にメンバー数を増やし、しっかりと運営しています。


丸川さんとこのグループとの出会いは、このエリア出身者である、製茶工場関係者の紹介によるものらしく、紅茶から広がった人脈がここのように発展し、現在進行形で続いているのは素晴らしいことだと思います。


それから、水プロジェクトの水源を訪ねるため、車に乗りこみます。さきほど左手に見えていたほうに入っていきます。久しぶりに訪れても、どこで曲がるかわかってしまう丸川さん。さすが元バックパッカー!一回訪れただけで、知らない土地の様子を記憶してしまう。グループのメンバーも相当感心していました。


水源に到着。きれいな水が湧き出ています。飲んでみたら、甘くておいしかった…。この団体だけでなく、ほかのキリスト教グループのパイプなど、何本か敷かれているようで、ところどころ土から出ているのが見えます。スタッフのひとり・ジョシュアさんが、ほかの団体のパイプを指して「この弾力のあるいい素材は、ゾウが踏んでも壊れにくい。だからその素材を買いたいんだけど、高いからねぇ…」と話していました。


さっき配られたプリントにあった、グループが抱える3つの課題のひとつが「ゾウ」。体重が重いから、プラスチックのパイプに乗ったら、壊れてしまうみたいです。また、土からパイプを掘り出したりして、ダメージを与えてしまうこともあるようです。好奇心あふれる動物なのでしょうね。でも、みんなの大切な水を運ぶパイプを壊してしまうのは、困ります…。そんな苦労話を聞かせてくれながらも、ゾウの糞を見つけて「これはゾウの糞だよ」と教えてくれたり、つるつるになった木を指さして「ゾウが牙を研ぐために、木に牙をこすりつけた跡だよ」とか、「向こうのメイン道路からフェンス越しにゾウの群れを見ることができるから、道路わきに車を止めて見学しているひともたくさんいるよ」など、ゾウの話題が尽きません。メルーの人たちは、そんなゾウを一目置いて見ているようです。ゾウに対する彼らの尊敬と愛着を感じました。このフェンスで囲われたエリアも、昔(フェンスで囲むもっと前)からゾウが住んでおり、泉の水のおかげと天敵や悪い輩(密猟者)がいないせいで、その数が増えているそうです(昔は20~30頭だったけど、いまは120~130頭はいるとか…)。


水源訪問のあとは、パイプで引いてきた水を一旦貯めるタンクを見に行きました。数か所あります。そのうち丸川さんも1つ寄付されたようで、久しぶりに見たタンクを懐かしそうに眺めていました。タンクの横に住む管理人のお宅も訪問し、お庭に実るみかんや畑にできているキャッサバなど、田舎ならではの「おみやげ」もたくさんいただきました。


こんなに乾燥している地域でも、あの泉のおかげ、そして住民と丸川さんの協力で水を引くことができたのは、すばらしいことです。感謝の気持ちを表すために、このグループが丸川さんにつけたメルーの名前があります。それは「Malete」。「牛を持ってきてくれた人」という意味だそうです。牛はこの地域の人たちにとっても貴重なもの。つまり「すばらしいものをもたらしてくれた」という気持ちが込められているのでしょう。プロジェクトにかかわったメンバーや地域住民はみんな、丸川さんを知っていますが、実際に丸川さんに会ったことのない子供たちも「Mr.マルカワ」を知っている、とスタッフが話していました。



そんな当時のあれこれ話を聞きながら訪れた、キアバイバテ/ンチュラ地区。メルーでの最初の朝に、この地を訪れることができて、ほんとうによかった!快晴のお天気に恵まれ、このあとの製茶工場への訪問もワクワクしてきました!



※当時の詳しい話は、ホームページの「支援活動~茶葉収穫地域以外の援助➂」に記してありますので、ぜひご参照ください。また、2014年8月の「ひさことあきこのケニア訪問記」も掲載していますのでお時間ありましたら、ぜひ読んでくださいね!


東京事務所にて ひさこ