陸上選手と小学校

こんにちは、ひさこです。

 

学校給食が広まっているケニアですが、少し前はお昼の時間に家に帰って食べるというのが一般的でした。自分が小学校だったころの自宅と学校の距離をあてはめてみると、小さな体でなかなかきびしいことだと思いませんか。兄弟姉妹の多いケニアでは、「家にある昼食を兄たちに先取りされないように、学校から家までダッシュして帰らなければならない。だからケニアには足の速いランナーがたくさんいるんだ」と、以前勤めていた在京ケニア大使館の外交官も冗談まじりで話していたのを思い出します。

 

実はこれ、ジョークではないようです。お昼休みに限らず、例えば2㎞はなれた学校に朝6時までに到着するには、朝4時起き。身支度を整えて簡単な朝食をとり、家を出る。昼には家と学校を往復。午後のクラスを終えて家に帰るとなると、少なくとも一日8㎞は自分の足で歩くか走る。小学校は8年間…夏休みなどの長い休みを除いてこの日課が必然と組み込まれていることを考えると、なるほど~ですね。骨格や食事、環境など、多方面で研究もされているようですが、ケニアの過酷な通学事情が、ケニアの陸上選手を生み出す理由のひとつのようです。

 

私たちは、たとえば学区を越えた学校に通ったとしても、電車やバスを利用するので、どうしても体が鍛えられる環境ではないですね。ケニアの田舎の、厳しい環境で育っている子たちにとっては、海外などで成功した先輩ランナーがピカピカの大きな車を乗って帰省してきたのを見たら、「僕もあんなふうになりたい」と夢を描いて、走りはじめるに違いありません。この話は、ニャフルルで地域密着型の陸上部を運営していた丸川さんが詳しく書いていますので、こちら「手紙からの手紙Vol.16」を参照してください。