ケニアからの手紙 2016年2月11日発行 Vol.25

丸川さんからのメッセージ

大分遅くなりましたが、2016年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

何か近頃は時間がたつのが早くて、焦ってしまいます。

 

もう2月。新しい奨学生の選考が始まる時期なのですが、今年は実はもう済ませてしまいました。といいますのは、去年の選考以来考えていたのですが、小学校(注1)から推薦されてきた子は(原則として、1校1人)、全員取ってしまうことにしたのです。

問題は、人数が増えるので、予算が足りなくなることですが、一応予算を決めておいて、後は強引に頭割りすることにしました。

 

こうした選考は結局、成績で決めるか、必要度(貧しさの程度)で決めるしかありません。成績はKCPE(注2)の結果を見ればいいのですが、貧しさの程度の方は、これはもう小学校からの推薦文を信じるしかありませんので、比べられません。この2つを総合的に判断して、となると、これはもう発狂ものです。

 

小学校には、我々の支援がなければ、高校に進学出来ない子を推薦してください、とお願いしてあります。従って私の選択は、成績の良い子を予算に合わせて少数とるか、出来るだけ沢山とるか、になってしまいます。もちろん、全員を取って、予算を等分すると、一人当たりの金額が減ってしまいます。特に今年は授業料の値上げがひどく、30%の値上げが当たり前ですので、県立(PROVINCIAL)の寄宿高校は安いところでも、年額6万円以上になってしまいました。その結果、奨学金の予算を等分してしまいますと、一人への援助額が学費、寄宿費の50%以下になってしまいます。

 

今までは、孤児には80%、その他は70%を目標としてきましたので、それを適応しますと、せいぜい5人か6人しか取れないことになってしまいます。しかし、推薦されてきたのは、13名。

 

ここで考えたのは、選考で落とした子供は、高校に行けない、ということでした。全員を取って予算を等分すると、学費の高い、地域のいわゆる名門高校にいけなくて、安い高校に進まないといけない子も出るでしょうが、全員が高校に行けます。

 

それに、高い高校が良い高校とは決していえません。実際名門高校に入学して成績を落としてしまう子も沢山いますし、その反対に、安い昼間だけの地域高校(ハランベースクールと呼ばれています)から大学にパスしてしまう子もいます。

 

というわけで、13人全員を取ることにいたしました。新しい奨学生の名前は分かっていますが、どの高校に入学するかは、まだ分かっていません。次の手紙で紹介いたします。この13名を受け入れると、既に27名の面倒をみていますので、計40名になります。

 

進学高校の決定の後(多分、2月15日頃)、学費と奨学金の差の関係で、他校に転校を申請する子供も出てくるでしょう。また、去年もあったように学費と奨学金の差額を、小学校の校長先生を中心とした地域の人々の募金(こうしてお金を集めることが、ハランベーです。上記のハランベースクールは、こうして皆がお金を持ち寄って作った学校、という意味です))でまかなうということもあり得ます。

 

実は、私としては、これに大いに期待しています。既に奨学生決定と奨学金に関する小学校との会話の中で、幾つかそうゆう話しが出ています。地域を捲き込めれば、単に奨学生が増える以上のインパクトがある筈です。

 

奨学生の2~4年生に関しましては、一学期分の支払いは済ませました。上にも書きましたように、学費の値上がりがひどく、奨学金を増やしてやらねばならない子供が続出しましたので、かなりの予算オーバーです。まあなんだかんだと言いながら、奨学生を取りすぎてしまいますし、払いすぎてしまいますので、いつも予算オーバーです。みなさんの寄付をお待ちしております。

 

先の12月12日の独立記念日に、1990年後半から2000年前半にかけての約10年間、ニャフルルで行った奨学金制度の卒業生が5人突然訪ねて来てくれました。皆30代前半で、大学も卒業。銀行を初めとして好い職についていますし、中古のカローラクラスですが、車も持っています。まあ奨学金制からの成功者といえるでしょうか。

 

この子達に、8月末にいつもGITHONGO 工場で行っている奨学制のセミナーに、一緒に行ってもらうことにしました。今の奨学生は奨学金を受けて高校に行ってはいますが、将来どうなり得るのかを、実際に見、話しを聞いてもらえると、イメージが湧いて、勉強に励みが出るでしょう。

 

最後に、話しは違いますが、ケニア人の夢(初夢?)についてです。私の想像でもありますが、まず100%間違いないと思います。それは、オバマがアメリカ大統領を引退した後、ケニアに来てケニアの大統領になる事!!お父さんがケニア人ですから市民権はすぐ取れるでしょうし、もし出馬すれば100%当選します。

また、こちらの新聞によると、だいぶ前ですが、マサイの金持ち(牛持ち)が、オバマの長女のマリアさんと結婚する為に、花嫁料(ダワリー)として、牛500頭を申し出たそうです。冗談ではなく、本気だったみたいですよ。夢みる国(白昼夢?)、ケニアでした。

 

2月5日  ナイロビにて、丸川正人

 

1)茶葉収穫地域には公立小学校が19校あります。今回は13校からの推薦がありました。

注2)小学校の卒業資格試験、全国一斉テスト

 

 

◇奨学生からのお礼の手紙

ダウンロード
エバリンからの手紙.pdf
PDFファイル 140.1 KB

上のPDFを開くと、前回の「手紙」でお約束していました、奨学生からのお礼のレター(英文)をご覧いただけます。下記はレターをを簡単に訳したものです。

(簡単な訳)

 

親愛なるお父さんへ

 

私、エバリン・ガキィは、私の必要をいつも満たしてくださるお父さん~単なるお父さんではなく、責任感のあるお父さん~に、この場をお借りしてありがとうの気持ちを伝えたいと思います。

 

私の家庭環境は片親です。シングルマザーで小作農の母にとっては、私と小さな弟を養うことと、私を高校に入れることは、とても難しいことでした。

 

丸川さんと支援してくださっている日本のみなさまの存在が、私を責任ある女性に育ててくれています。この奨学金のおかげで高校へ行くことができました。そして、私は大学へ行くため一生懸命勉強しています。大学に入ることができたら、ただお金を稼ぐために学ぶのではなく、自分の住む地域や国、世界に貢献できる機会を与えてくれるコースを選ぼうと決めています。私の人生でみなさんに出会えたこと、このことがどれだけ自分が恵まれているのか、心から感じています。

 

感謝のことばを、口先だけで言っているのではありません。それどころか、期末テストが終わり、結果を実家で待っている間、微力ながら私にできることが何かないかと考えています、みなさんのご支援に恥じないように。

もう一度、みなさまの温かいご支援に感謝の気持ちを伝えます。ありがとうございました。

             

敬具

エバリン・ガキィ

 

HOMEへ戻る

 

いつも温かいご支援ありがとうございます。

 

引き続き、ご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 

郵便振替口座 00110-5-450063

日本ケニア交友会寄付金・奨学金係

または、ゆうちょ銀行 店名〇一九

 (ゼロイチキュウ)当座0450063